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Top > Research > Solar : Thin-film multi-junction (design and light trapping)

Updated August 21, 2017

■ テーマ例 ■

低コストと高効率の両立を目指した光閉じ込めによるInGaP/GaAs/InGaAs多接合セルの薄膜化検討

A. G. Reddy, 朱 琳(東大物性研), 渡辺 健太郎,秋山 英文(東大物性研),中野 義昭,杉山 正和

超高効率のInGaP/GaAs/InGaAs 3接合太陽電池が,逆積み3接合技術により実現され,宇宙用では実用化され地上用にも応用が検討されている.しかし,成熟したシリコン太陽電池の存在下で大量導入を果たすためには,III-V族化合物半導体のコストを大幅に低減する必要がある.このためには,基板の再利用や超高速結晶成長などの低コスト作製技術が必要であるが,それと同時に太陽電池に用いられるIII-V族化合物半導体層を薄くすることも必要である.

そこで我々は,InGaP/GaAs/InGaAs 3接合太陽電池の効率を保持しつつ結晶層の厚さを最小化する設計を目指している.とくに,InGaAsボトムセル裏面に光散乱構造を導入して,多重反射により光を太陽電池内に閉じ込めることで光吸収を増大する効果を定量的に取り込んだシミュレーションを開発している.多接合の場合,各サブセルが異なる波長域の光を吸収するため光閉じ込めの効果は複雑であるが,薄膜内の光多重反射と部分吸収を定量化し,かつサブセル間のルミネッセンスカップリング(発光再結合により放射された光の隣接セルによる再吸収)も取り入れてモデル化している.これにより,電流整合を満たす層厚を求めることができるほか,発光・非発光再結合を両方考慮した詳細平衡則により多接合セルの電流電圧特性,さらに効率を予測することが可能である.


図1 多接合セルにおける主要な光学的過程:内部および外部への発光,発光/非発光再結合,ルミネッセンスカップリング.α(2→3) はサブセル2からの発光がサブセル3で吸収される過程における吸収率を表す.
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