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Top > Research > Solar Fuel : CPV + water electrolysis

Updated August 21, 2017

■ テーマ例 ■

集光型太陽電池と水電解の組み合わせによる高効率太陽光水素製造

山下 大之,藤井 克司(理研),中野 義昭,西岡 賢祐(宮崎大学), 杉山 正和

太陽光に由来する水素は,容易に調達可能なクリーンエネルギーとなる可能性がある.その実現に向けては,太陽光エネルギーを使って水を酸素と水素に分解するための高効率かつ低コストな方法を見出す必要がある.我々は,集光型太陽電池(CPV)と水電解装置を組み合わせて,高効率で水素を製造するシステムを構築した.

CPVは,ミラーやレンズを使って強い太陽光を小型の高効率太陽電池に集めることで発電する.現在使用しているCPVは住友電工製で,発電効率31%である.CPV内部の集光点には,InGaP,GaAsおよびGeを用いた3接合太陽電池を配した.また,銅線を用いて,水電気分解装置をCPVに接続した.本システムを屋外に設置し,太陽光から水素へのエネルギー変換効率が24.4%という,世界最高記録を樹立した.高効率CPVと水電解装置の直列接続数を最適化することで電圧マッチングをとり,CPVを効率最大点付近で動作させることが太陽光から水素へのエネルギー伝達効率を最大化するポイントである.

変動する太陽光照度に対応して電圧マッチングをとり続けるためには,CPVと水電解装置の間に電圧コンバータを挿入して,適切なアルゴリズムにより常に動作点最適化を図る必要がある.現在宮崎大学にCPVと水電解装置による水素連続製造の実証設備を導入しており,高効率太陽光水素製造の可能性を示すとともに,実用化に向けた課題を抽出する予定である.


図1 多接合太陽電池を用いた集光型太陽光発電モジュール(CPV)の動作概念図

図2 (左)CPVと水電解装置の接続による高効率太陽光水素製造実証設備(宮崎大学) (右)動作電圧マッチングの概念図
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