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Top > Research > Solar : Dilute nitride MQW

Updated April 26, 2018

■ テーマ例 ■

平坦な伝導帯端を有する希釈窒化物多量子井戸の設計と多接合太陽電池応用

W. Yanwachirakul,宮下 直也(岡田研究室), H. Sodabanlu,渡辺 健太郎,杉山 正和,岡田 至崇(岡田研究室),中野 義昭

希釈窒素を含むInGaAsNはGe基板に格子整合して電流整合を満たす多接合太陽電池を実現するために有望な材料である。この材料はボーイングパラメーター大きく,数パーセントの窒素添加でバンドギャップ1.2eV (3接合の中間セル用途)や1.0eV(4接合の第3セル用途)までバンドギャップを縮小可能である。

しかし、この材料を太陽電池に応用することは容易ではない.添加された窒素は伝導帯バンド端の下に電子のトラップ準位を形成するため、希釈窒素半導体における電子輸送効率は悪化する.電子が窒素由来の準位にトラップされるのを防ぐために,我々はInGaAs/GaAsN多重量子井戸構造を提案している.本構造では,窒素を含まないInGaAs層が窒素を含むGaAsN層に挟まれて周期的に存在している。

本研究で開発しているInGaAs/GaAsN多重量子井戸は,組成の調整によりInGaAsとGaAsNの伝導帯端がオフセットなく平坦化した構造となっている.このような量子井戸構造を実際に結晶成長して太陽電池に実装することで,(1) 光励起された電子の再結合寿命増大,(2) InGaAsNバルクに比べてキャリア輸送の改善による光励起キャリアの外部回路への取り出し効率の改善,の2点を実証することに成功している。


図1 InGaAsNバルクおよびInGaAs/GaAsN平坦な伝導帯多量子井戸(FCB MQW)構造中の電子と正孔の輸送

図2 InGaAsNバルクセルおよびInGaAs/GaAsN平坦な伝導帯多量子井戸(FCB MQW)セルの(a)フォトルミネッセンス(PL)の減衰時間、(b) 量子効率、 (c) 電流電圧(I-V)特性 および(d) キャリア収集率 (CCE)の測定結果
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