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Top > Research > LED : Chip-white LED

Updated August 21, 2017

■ テーマ例 ■

InGaN/nano-AlN構造を発光体とする蛍光体フリーな白色LED

杉山 正和

窒化物半導体を用いたLEDはいまや主要な照明機構となっているが,白色を得るために青色もしくは紫外のLEDに蛍光体を被せて波長変換を行っており,蛍光体におけるエネルギー損失や,作製過程に蛍光体の塗布が必要となるなどの問題を抱えている.したがって,蛍光体なしで白色発光するLEDへの期待は大きい.

我々は,低温成長したナノテクスチャを有するAlNの上にInGaNを成長することで,緑から黄色の可視光域をカバーする広帯域の発光源を形成できることを発見した.この構造を青色発光層と積層することで,1回の結晶成長で得られるLED構造により白色発光を蛍光体なしで実現することに成功した.作製プロセスは既存の青色LEDとほぼ同一であり,結晶成長プロセスを若干変更するだけで白色発光が得られるメリットは非常に大きい.

本技術を用いたLEDの演色性向上のためには,発光強度を高く保ったまま発光を長波長化・広帯域化することが必須である.そのためには半導体が広帯域発光するメカニズムを解明し,発光体構造の最適化につなげる必要がある.低温から室温領域でのフォトルミネッセンス,エレクトロルミネッセンスを丹念に解析し,InGaN/nano-AlN発光体の構造解析と合わせて広帯域発光のメカニズム解明に取り組んでいる.低温成長AlNの表面テクスチャと歪みが,発光スペクトル制御のカギを握ると考えている.


図1 蛍光体フリー白色LEDの電流注入発光

図2 (右)InGaN量子井戸およびInGaN/nano-AlN発光体の下部にInGaN/GaN超格子を挿入することによる電流注入発光スペクトルの変化
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