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Top > Research > Solar Fuel : Polarization-controlled nitride photocathode

Updated August 21, 2017

■ テーマ例 ■

分極制御構造を用いた窒化物半導体光還元電極

丸山 裕晃,藤井 克司(理研),杉山 正和

窒化ガリウムは水電気分解用光電極の材料として知られる.一般的な電気化学的水分解において,光照射時にn型半導体は酸化電極,p型半導体は還元電極となる.水溶液中での安定性の観点において,還元電極は表面に正孔が蓄積して電極自身が酸化される酸化電極よりも腐食に強い.しかしp型GaN光電極は結晶性が悪く,n型GaNと比較して光電流が小さいことが知られている.そこで,当研究室ではGaN層内部に数nmの薄いAlN層を組み込んだ構造により,AlN層にかかるピエゾ分極を利用した,p型半導体を用いないGaN還元電極を作成した.この構造はp型GaN電極より光電流値が大きく,n型GaN電極よりも耐久性が高いことが実証された.バンド構造のシミュレーション結果より,GaN/AlN/GaN構造は還元電流の立ち上がり電位が酸素発生電位よりも高く,無バイアス水分解用光電極として用いるには十分な特性があることが予想される.しかし,実際は1 V程度の電圧ロスがあるため,無バイアスでの水分解には立ち上がり電位の更なる改善が必要である.本研究では,白金助触媒の担持,多接合化,転位密度低減などの工夫により,光電極の集積化の際に重要となる無バイアス動作に向けた,(In)GaN/AlN/GaN分極制御構造を利用した光電極の特性向上を図る.


図1 分極制御構造によるGaN光還元電極の層構造と動作原理

図2 白金助触媒表面担持による分極制御構造GaN光還元電極のI-V特性改善例
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